皆さんには、思い出すとほっとする様な風景はありますか?

私にとってそれは、叶水の自然と西表島です。私は小学校5年生から中学3年まで西表島に住んでいました。学園に入学してはじめて目にした叶水の新緑の美しさは南国にはないもので当時の私の心に深く印象に残り、今でも時々思い出します。

中学3年の私は、人は何故生きるのか、本当の幸せとは何だろうと考えている時期があり、たまたま図書室で手に取った本からマザーテレサやコルベ神父の生き方を知り、その答えを探すような気持ちで学園の入学を決めました。

今思えば、三年間でその答えが見つかった訳ではありませんが、美しい叶水の自然を通して作物が育つ神秘から、宗教を越えた宇宙の大きな存在に包まれている様な感覚を感じた時、これは一体何だろうと人間の小ささと生かされている事を感じました。また、地域の人たちとの稲刈りや田植えの時間はとても楽しい一時でした。心置きなく話せる同級生や友人は久々に会うと不思議と高校時代の感覚に戻ります。出会った人達と環境に恵まれて、それが人生の心の故郷の1ページになっている叶水と学園は、今度いつ訪れるか分かりませんが皆さん元気でいて欲しいなと思っています。

卒業後も色んな人たちと出会い別れ、今も歩みはゆっくりですが、人生の学びの途中です。自分の心を省みながら、人の喜びが自分の喜びとなるような生き方をしたいです。日常の生活の中で当たり前の生活が当たり前ではないこと、謙虚さと生かされている事、思いやり、自分を大切に、相手を大切に。感謝の気持ちを忘れず、ひとつひとつ乗り越えて自分らしくいられる私でありたいです。どうもありがとうございました。

〈 2004年卒業 54期生 〉