3年間の学園でした事はサッカー、スキー、登山・キャンプ、農業部(畜産)。残念ながら勉強とか聖書は触りも、カスリもしなかったような。

 現在住むローマは聖書の町。ミケランジェロに憧れて留学してみるとその作品の題材が全て聖書。子供の頃、退屈だった我家の家庭集会、居眠りばかりの学園の聖書授業・・・それにも関わらず、門前の小僧なのだろうか? その壁画の前に何度か立つとミケランジェロの作品が静かにテーマを語ってくれる。ある時は古い教会の作者も知らないイエスの生涯の「東方3博士」から始まるフレスコ画を追っていくと、「山上の垂訓」そして「十字架」とその生涯を知っているから不思議。

 「白頭にして 草木は同じ」

 学園卒業から半世紀も過ぎた、もう70歳。今、やってる事はスキー、サッカー、山歩き、庭で野菜つくり・・・あれ?!全然発展してないのか?

 ここ、サッカー王国は言葉が全然出来なくても一度ボールを一緒に蹴ると友達になれ、伊スキー教師試験で知り合った友達からドロミテ渓谷を知り、その切り立つ山の景色を取材した作品で、現在もドロミテの展覧会を続けている。

 学園の短くて濃い3年間は豊作と言うより質の良い収穫だったと思う。3度の飯より好きなことも、飯を抜かれてもやりたくない事も、必ず自分の中に組み込まれ、人生を一緒に歩んでくれる。

〈 1971年卒業 21期生 〉

*写真は講堂玄関扉の取手・加藤朝美作成の彫刻