「出会いを大切にしたい」「労働」を目的として、73期は長野県伊那市に修学旅行に行きました。私は、修学旅行に行きたくありませんでした。今までの(中学校までの)修学旅行で得たものがなく楽しくなかったのと、73期で過ごすのが嫌で怖かったからです。それともう1つ、八ヶ岳農業実践大学校に行くことです。アニマルウェルフェアに対して興味を持ち、動いている人がいるから行った方が良いと、行く方向になった時、すごく嫌で悔しかったです。本当に行きたくありませんでした。興味なんてなく、なぜ一部の人が興味を持ち、動いているのに巻き込まれなければならないのかと考えていました。実際に、お話を聞き、見学をさせてもらいましたが、理解することができませんでした。私には難しかったです。アニマルウェルフェアに取り組んでいた人たちは何を感じたのだろうかと疑問を持ちました。

 4日間の農家実習で私は、それぞれの人の生き方を見たと思います。作業や生活面を通して、毎日の生活が送れることを当たり前と思わず感謝する姿や生きることに楽しさを感じている姿を見て、不思議な気持ちになりました。当たり前のはずなのに行動一つ一つに新鮮さを感じ、何か失われていたものが戻ってくるような感覚になりました。学園で生活していると、周りの空気で変わってしまうが、伊那の方々の周りは人を受け入れ優しく包み込むような温かさを感じました。

 修学旅行で過ごした同期との空間は良くもあり、辛くもありました。そして、温かくもあり、寂しくもあり、悲しくもあり、苦しくもあり、怒りもあり、楽しかったです。人間味がありました。学園を離れ伊那という地で、一人一人が好きなもの、苦手なもの、興味を引くものに出会えたのではないかと思います。

 私は、修学旅行が終わるにつれ、行きたくないと思っていた感情が来てよかったという感情へと変化しました。初めての地で見た自然は美しかったです。何を感じて、何を見て、何を思ったのかを言葉に現すのは難しいです。一日一日が濃くて、毎日ついていくのに必死でした。修学旅行を73期と初めから計画することが出来て、決して簡単ではなかったけれどよかったです。同期との関わり方、在り方、人について考える機会となることが多かった気がします。そして、自分自身と向き合うこともありました。

 保護者、職員方、受け入れてくださったロッジ吹上を初めとする伊那の方々、私たちの見えない所で助けて下さった多くの人の支えにより修学旅行に行けたことを深く感謝します。ありがとうございました。

〈独立時報173号(2022年12月10日発行)掲載〉