2025年度、外部向けの試みとして独立学園は二つの「挑戦」をしました。報告いたします。
一つ目は、外部の小中学校(教会付属のフリースクール)に職員を派遣したことです。去る6月29日、茨城県にある土浦めぐみ教会付属の「森の学園」に、職員二人(中村頌、岩﨑桃)でお邪魔し、生徒や保護者、学校のスタッフや教会の方々に向けてお話をしました。おそらく50人前後の方が集われたと思います。「卒業生の話もぜひ聞きたい」との希望もいただき、独立学園卒業生も多く集まりました(この春卒業したメンバーを中心に7名程)。
今回の企画は、私たちにとって新しい試みでした。単に「独立学園の学校説明会」を、学外で開いたのではないのです。それは言わば、会を主催される「森の学園」のニーズに合わせて、独立学園を用いていただく機会でした。事前に森の学園のスタッフの方と話し合いを重ね、会を「独立学園の紹介で終わらないものようにしよう」と方向性を確認しました。
テーマは「“大切なこと”ってなんですか?~今を生きるあなたへ~」。壮大な響きを持つテーマですが、事前の相談のなかで、熱い思いを共有していただきました。「今一度立ち止まって、ぜひ、子供も大人も一緒に向き合いたいことなんです」。単に進路の選択肢の一つとして独立学園を紹介して欲しいのではない。そうではなく、独立学園の話を呼び水として、一人一人が自分の人生や学びにおいて「何を大切にしたいか」を考える場としたい。これから自分たちの学校のあり方を考えるヒントにもしたい。そんな森の学園スタッフの思いを受け取り、話を準備する我が身の背筋が正される思いがしました。
前半(「お話し」パート)と後半(「座談会」パート)とを分け、前半は独立学園の職員と卒業生が話をしました。後半の座談会では、それぞれグループに分かれ、独立学園関係者に質問をぶつけていただいたり、テーマについて自分の心に浮かんだことを自由に話したりする場となりました。
初めての試みだったこともあり、どのような会だったのか、私自身まだ総括しきれていません(反省もあります)。ただ一つ、改めて考えたことを挙げるなら、独立学園の社会的意義についてです。
独立学園は、日本国内ではかなり珍しいタイプの高校です。そして70年以上にわたる歴史を通して培われ育まれてきた教育風土があります(あるいは教育哲学といっても良いかもしれません)。そして大変ありがたいことに、そうした独立学園の教育に共鳴してくださる方が、学外にも多くいらっしゃいます。以前、そうした方のお一人が、次のようなことを伝えてくださいました。
「独立学園の大切にしている価値が共有され、交流や対話の場が持たれることは、独立学園の外で生きている私たちにとって、ものすごく意味があることなんです」
それぞれの場所にあって、より良い生き方、学校のあり方、コミュニティ形成、キリスト教教育について真剣に向き合っておられる方がいます。そうした方々にとって、独立学園の教育実践が、何かその背中を押すもの、考えるきっかけを提供するもの、対話と交わりの深まりに寄与するものとなるのであれば、こんなにも嬉しいことはありません。
今回、子どもの育ちに日々真剣に向き合いながら、独自の教育を追求されている森の学園の関係者の方々と繋がりが深まったことを、心より嬉しく思います。今後また別の地域の方々とも、交流や対話の機会が開かれ、新たな繋がりや連帯が結ばれていくことを願います(ご関心のある方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡ください)。
中村頌(教員)記
