ずっとただ黙ってみんなの様子を観察し続け、いかにスムーズな人付き合いができるかを考えることがベストだと信じていました。けれど、それは自分の思いをあきらめ、相手をあきらめた上でのベストでした。私は、人に期待することも特になかったし、時にあきらめることもある程に周りの人と関わらないまま、大勢の人たちと別れてきました。相手が話しやすそうな流れを作るだけで、気持ちよくコミュニケーションが取れるのはとても楽でした。そして、ずっとこのままでいようと思いました。

でも、学園はそうはさせてくれませんでした。みんなをあきらめることがありました。みんなにがっかりすることがありました。周りのみんなに期待をしてしまいました。これは、私の中でのルール違反でした。みんなに面と向かって伝えたいことがあるのに、自分の今まで信じてきたものを崩すのが怖くて言い出せないのは、とても苦しいものでした。そんな時、ある人が「自分は思ったことがあったら、あなたに話すよ」と言ってくれた人がいました。とても単純だけど、きっとこれが誠実なんだろうと思えました。私も、誠実な人になりたかった。でも、人に伝えることをあきらめていた私の話など、誰が聞くだろうと思った。けれど、ある日、私がみんなへの期待を思わず言ってしまった時、みんなのうちの何人かは軽く流してくれました。みんなのうちの何人かは何も言わず帰ってくれました。みんなのうちの何人かは、その後話しかけてくれました。そしてそのみんなのうちの1人は、一緒に泣いてくれました。自分と他人、つまり、自分とみんな、だと思っていたみんなは一人一人それぞれ違う人でした。初めて自分以外の一人一人がはっきり見えた気がしました。今までずっとあきらめていてごめんなさい。ずっと一方的に期待ばっかりしていてごめんなさい。これからは一人ひとりのことを、もっと大切にします。

〈2024年12月10日 朝拝〉
 ※英語讃美歌:66番 日本語讃美歌:Ⅱ219番 聖書:詩篇121編8節