※独立学園は、各学年の保護者会が秋に宿泊で行われます。日曜日は、生徒主催の会食があります。生徒と保護者、教職員の大笑いの楽しい交わりのひと時です。プログラムの中で、保護者スピーチがあります。今回は、3年生の保護者スピーチを掲載いたします。

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 我が家には独立学園の関係者に知り合いが1人もなく、分かっていたのは本やホームページで知る範囲の、限られた情報だけでした。
 シンプルで、素朴で、今時の偏差値教育とは違う、芯の通った本物の学校、基督教独立学園。でも、ほんとかな? 始めはそうだったかもしれないけど、長い間に有名になって、いつしかブランド化されてて、気取ってて、結局賢いお金持ちの子しか行けない、イケ好かない学校かもしれない。そもそも娘は「うちは山形の高校になんか行かないよ。」と言っていました。
 
 でもはじめて見学会に参加して、「こんないいとこ、ほんとにあるんだ!」と、とても驚きました。山奥に立つ白い校舎には『神を畏るるは学問の始め」の聖書の文字。先生たちの、ちょっとヨレっとしたスーツ、その優しい誠実な言葉。先輩たちの飾らない穏やかな印象。美しいコーラス。もう全てが素敵で、帰る頃には娘も「ここに行きたい」と言い出していました。
 
 冬の始めの頃、再び入試を受けるため学園へやってきました。同じ控室だった同級生は、数学のテストの後「ああ、大丈夫。割と簡単だったよ」とお母さんに言っていたのに対し、娘は「問題の表紙めくってさ。分かんないからまためくってさ。めくって、めくってまた表紙に戻った」と言っていて、軽く血の気が引きました。英語もそんな感じ。国語は作文で、テーマは「本当の幸福とは」。イケてるテーマですよね。それから面接、面接、面接、面接。 ともあれ、娘が受かったのですから、偏差値が入学の決め手で無かったことは確かでした。合格通知を頂いた時の嬉しさが、つい昨日のことのようです。
 
 入学前、春から同室になる先輩から手紙が届きました。そこには寮生活や学園生活についてのアドバイスがたっぷり書いてありました。娘はもちろん、私もそれを読んで、どんなに感激したことか。
 
 先程から、つらつら思い出を語っておりますが、入学してから知ったもう一つのことは、「学園には”親が卒業生””兄弟が卒業生”または”上の学年に兄弟がいる”という方が沢山いる」ということです。きっとそのみなさんには、私たちがびっくりしたことは、もうとっくに知っていることで、特に驚くことでも無いのかもしれません。でも、一つ一つのことが新鮮だったこの感動を、ぜひもう少しお話しさせて下さい。
 
 朝、搾りたての牛乳が飲めることにびっくり。校長を「ゴッちゃん」担任を「そんべ」って呼んでてびっくり。先生方の生徒への、時間と労力を惜しまない向かい合い方に、心底びっくり。先輩が、蛇を手づかみするってびっくり。長期休みに学園生が家にやってくるのびっくり。自分の学校のこと「独立」とは呼ばずに「学園」って呼ぶのびっくり。同期のズボンのポッケから魚が出てきてびっくり。パンを石窯で焼いててびっくり。パイプオルガン習えてびっくり。舎監のとこにしょっちゅう生徒入り浸っててびっくり。修学旅行、積立金3500円くらいなのに北海道18日も行っててびっくり。そもそも、お金のことで言うと、全寮制の私学のミッション系高校でこの学費ってびっくり。寮でやたらにお茶会あって、娘の体形丸くなっててびっくり。通知表に学科の担当の先生一人一人から丁寧なコメントあってびっくり。スキーの授業、まずは雪固めからってびっくり。生徒の朝拝メッセージやコメントが秀逸すぎて泣けてくるのびっくり。ってゆうか、去年のクリスマス劇のクオリティやばく無かったですか?あと、生徒もだけど、保護者もみんな個性派揃いでびっくり。

 こうして私たちは、びっくりしながら娘の卒業の日を迎えることでしょう。三年間があっという間すぎて、ほんとにびっくりです。
 「私は、驚くために存在する!」と詩に書いたのはゲーテでしたが、学園での日々は、学生の皆さんにはもちろん、遠く離れた私たちにも、イキイキとした驚きと喜びを、沢山与えてくれています。本当に、ここに来れて良かった。そう思っています。残りの日々もまた、皆さんと一緒に私たち保護者も楽しみたいと思います。

 〈2024年9月29日〉